サプライチェーンでの賃金転嫁に関する陳情(2024年3月)

需要家の皆様へ

サプライチェーンでの賃金転嫁に関する陳情

      ――内閣官房・経済産業省・公正取引委員会による

拝啓

 平素は紙管および紙管関連商品をご愛顧いただき心より感謝申し上げます。

業界を代表して以下の通り、昨今の紙管業界を取り巻く環境をご紹介させていただきますので、何卒ご理解とご協力を賜りたくお願い申し上げます。

需要家様におかれましても既にご存じとは思いますが、当団体も経済産業省経由でこの度、内閣官房及び公正取引委員会からの「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を受けました。その中で発注者側・受注者側双方に対して「12の行動指針」が示されており、発注者からの価格提示を待たずに自ら希望する額を提示する事などが指示されています。サプライチェーンの転嫁を紙管業界が途絶えさせることは、経済復興を目指す国民として避けねばならないとの考えに賛同し、当団体としては内閣官房及び公正取引委員会の指針を無視しない方針と致しました。

一方では、紙管業界のみならず紙加工業界全体は製造業の中でも低賃金と言われており、将来の働き手が懸念される産業と言われています。また、取り巻く環境を見渡せば、主原料の紙管原紙の価格は現時点で安定しているものの、昨年春以降も副資材の一部値上げが相次いでおり、また物流コストアップやサービス低下も各地で交渉の段階に入っています。

なんとか需要家様へのご負担を避けるために地道なコスト低減と利益を削って価格の維持に努めて参りましたが、既に自助努力だけでは持続可能な供給体制を維持することができなくなる危険性も否定できません。

価格転嫁の交渉は、その実施の有無や転嫁の水準について組合加盟企業各社が独自に検討の上、実施します。この春に業界各社が、かかる窮状をお願いする場面もあろうかと存じますが、何卒前向きに交渉の場に臨んでいただきますよう宜しくお願い申し上げます。過去にもご理解いただき、価格修正にご協力いただいた需要家様におかれましては、非常に辛いお願いではございますが、紙管製造原価高騰の緊急事態をご理解いただき、可能な限り早期にご配慮を賜りますようお願い申し上げます。最後になりますが、引き続き業界が一丸となって生産性向上や原価低減に取り組み、将来の需要家様への還元を目指す姿勢に変わりは御座いません。

敬具

2024年3月      

全国紙管工業組合   

代表理事 佐方 將義